三方一両損
さんぼういちりょうぞん大岡政談もの
あらすじ
財布を拾った左官の金太郎は、中の書付から持ち主の大工吉五郎を探し当て、三両を返そうとする。ところが江戸っ子気質の吉五郎は「一度落とした金は自分の物じゃねえ」と頑として受け取らない。押し付け合いがついに大喧嘩となり、訴えは名奉行・大岡越前の白洲へ持ち込まれる。
ここが聴きどころ
「宵越しの銭は持たねえ」を地でいく二人の江戸っ子の、金を押し付け合う意地の張り合いと、それを鮮やかにさばく大岡越前の名裁き。三方がそれぞれ一両ずつ損をして丸くおさめる、裁定の機知が聴きどころです。
オチ(サゲ)の型
地口オチ。裁きのあとの意外な後日談で、数にまつわる言葉遊びと奉行の名とを掛け合わせ、軽妙に落とします。頑固な江戸っ子二人と名奉行の対比を、最後まで笑いに転じて締めくくる構成が見どころです。
▼ サゲ(オチ)を見る ※ネタバレ注意
サゲは地口オチ。裁定のあと大岡がふるまった膳で二人が大食いを始め、大岡が「腹も身の内、たんと食うな」とたしなめると、二人が「多かあ食わねえ、たった一膳(=越前)」と、奉行の名に掛けて落とす。演者により言い回しが変わる。
意味・元ネタ・豆知識
大岡越前守忠相は八代将軍吉宗のもとで江戸南町奉行を務めた名奉行で、その裁きを脚色した「大岡政談」の一話。「宵越しの銭は持たない」という江戸っ子の気風が、意地の張り合いの背景にある。損を分かち合って皆を得心させる裁きの妙が眼目。
代表的な演者
五代目柳家小さん三代目三遊亭金馬