藪入り
やぶいり奉公人が実家へ帰る「藪入り」を描く親子噺
あらすじ
商家へ奉公に出した一人息子の亀吉が、久方ぶりの藪入りで我が家へ帰ってくる。父の熊五郎は、立派になった息子に会えるうれしさで前の晩から眠れず、あれこれと気をもんで世話を焼く。ところが息子の財布に大金があるのを見つけ、盗みでもしたのかと早合点して怒鳴りつけてしまう。
ここが聴きどころ
帰ってくる息子を待ちわびる父親の、そわそわと落ち着かない親心が微笑ましい前半と、大金をめぐる思い違いから涙の和解へと向かう後半の落差。不器用な親の愛情が胸を打つ、人情噺の名作です。
オチ(サゲ)の型
地口オチ。息子を疑った思い違いが解けたあと、大金の由来にちなんだ言葉を、忠義や縁起にそっと掛けて軽く落とします。しんみりとした人情噺を、最後にほっと温かく和ませて締めくくる構成が眼目です。
▼ サゲ(オチ)を見る ※ネタバレ注意
サゲは地口オチ。財布の大金は、息子がねずみを捕らえて得た懸賞金だった。疑いが晴れ、「これもみんなチュウ(=忠義)のおかげだ」と、ねずみの鳴き声「チュウ」に忠義の“忠”を掛けて落とす。
意味・元ネタ・豆知識
藪入りは、住み込みの奉公人や嫁が、正月と盆の十六日に主家を離れて実家へ帰ることを許された、年に二度の貴重な休日だった。親元を離れて健気に働く子と、それを送り出して案じる親の情を描く舞台立てになっている。
代表的な演者
三代目三遊亭金馬五代目古今亭志ん生