包丁
ほうちょう間男を仕組む悪だくみを描く江戸の世話物
あらすじ
遊び人の寅は、悪友の清から妙な相談を持ちかけられる。清は今の囲われ者・お滝を捨てて金持ちの後家に乗り換えたい、ついては寅にお滝を口説かせ、間男の証拠をこしらえて追い出す口実にしたいという。寅は酒と包丁を懐に、お滝のもとへと乗り込んでいく。
ここが聴きどころ
女を厄介払いするための薄汚い企みと、それを前に思いがけず立ち上がる女の一途さ。悪だくみが少しずつ裏目に出ていく皮肉と、江戸の裏町に生きる者たちの人情が交錯する、苦みのきいた一席です。
オチ(サゲ)の型
考えオチ。人を陥れようと仕組んだ企みが、そっくりそのまま自分に跳ね返ってくる皮肉な逆転で結びます。しんみりとした人情噺の底に、後味のほろ苦い笑いを一滴残して落とす構成が持ち味です。
▼ サゲ(オチ)を見る ※ネタバレ注意
サゲは考えオチ。お滝を追い出そうと仕組んだ清の企みは裏目に出て、逆に自分が窮地に立たされる。人を陥れようとした悪だくみが本人へ跳ね返る皮肉で落ちる。演者により結末の運びは異なる。
意味・元ネタ・豆知識
「間男(まおとこ)」は人妻や囲われ者と密通することで、江戸では重い咎めの対象とされた。それを口実に女を追い出そうとする陰謀を軸にした、廓噺とも人情噺ともつかぬ江戸の世話物。題名の包丁は、脅しの小道具として物語に効いてくる。
代表的な演者
六代目三遊亭圓生五代目古今亭志ん生