天狗裁き
てんぐさばき見ていない夢の中身をめぐる問答噺
あらすじ
昼寝をしていた男が、女房に「どんな夢を見ていたのか」と問い詰められる。「何も見ていない」と答えても信じてもらえず、たわいない夫婦喧嘩に発展する。仲裁に入ったはずの隣人、さらには家主、奉行までもが、次々と「その夢の中身を言え」と迫ってくる。
ここが聴きどころ
「見てもいない夢」を言え言わぬの押し問答が、女房から隣人、家主、奉行、そしてついには天狗へと、際限なくエスカレートしていく可笑しさ。同じ構図を繰り返しながら相手だけがどんどん大きくなる、畳みかけの妙が聴きどころです。
オチ(サゲ)の型
夢オチ(逆さオチ)。次々と相手を替えて問い詰められる長い顛末そのものが、実は一場の夢だったと明かし、物語を冒頭の場面へ円環状に戻して落とします。同じやりとりを積み上げていく構成が、最後に鮮やかに回収されます。
▼ サゲ(オチ)を見る ※ネタバレ注意
サゲは夢オチ。天狗にさらわれて谷底へ投げ落とされたところで男は目を覚まし、傍らの女房が「今、どんな夢を見ていたの」と問いかけて、話が振り出しへ戻って落ちる。
意味・元ネタ・豆知識
天狗は山伏の姿で神通力を持つとされた妖怪で、人をさらう伝承が古くから語られてきた。「見ていない夢を言え」という無理難題が、相手を替えながら繰り返される反復の構成が眼目。上方・江戸の双方で演じられる。
代表的な演者
桂枝雀五代目柳家小さん